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「AIで簡単に稼げる」は本当に怪しい?——公的機関が注意喚起している手口で見分ける

生成AIを学び始めた、あるいは学ぼうとしている——そんなときに限って、SNSのタイムラインやDMに「AIで簡単に稼げる」「未経験でも月◯万」といった勧誘が流れてきます。学びたい気持ちはあるのに、その入口で「これは怪しいのでは」「騙されたくない」と足が止まってしまう。この記事は、その不安を感覚のままにせず、公的機関が現に注意喚起している”手口の型”で自分で確認できる状態にするためのものです。

ℹ️ この記事でわかること

  • 消費者庁が実際に注意喚起している「典型的な手口」の3点セット
  • 「必ず稼げる」という言葉が、制度から見てなぜ問題になりうるのか
  • 怪しいと感じたときに、この順で確認するという実践手順
  • 迷ったとき・被害に遭ったときの相談先(消費者ホットライン188)

(本記事は2026年7月10日時点で公的機関が公表している情報をもとにしています。制度・件数は更新されることがあります)

まず先に線引きをしておきます。この記事は、特定の講座や事業者を「怪しい」と名指しするものではありません。 あくまで、公的機関が注意喚起している”手口の類型”にあてはまるかどうかで見分ける方法を扱います。正規の講座と悪質な商材は、宣伝の見た目だけでは区別がつきにくいからこそ、名前ではなく型で確認するのが確実です。

結論——「怪しい」は感覚でなく、公的に注意喚起された手口で見分けられる

「なんとなく怪しい」で止まらず、「公的機関が現に注意喚起している手口にあてはまるか」で確認できます。 これがこの記事の結論です。

消費者庁は2025年6月26日、簡単な副業をうたって高額なサポートプランを契約させる事業者について、事業者名を公表して注意喚起しています(消費者安全法第38条第1項に基づくもの)。つまり「AIで簡単に稼げる」系の勧誘は、あなたが漠然と感じている不安のままではなく、すでに公的機関が具体的な文言つきで警告している対象です。感覚を根拠に格上げできる、ということです。

2025年6月26日 消費者庁が高額サポートプラン契約への注意喚起を公表した日 出典: 消費者庁

この記事では「怪しい」「騙されたくない」という入口の気持ちを受け止めますが、着地はそこではありません。読み終えたときにあなた自身が手口の型で見分けられ、正規の講座を選ぶ入口に立てている——それがこの記事のゴールです。

公的機関が注意喚起している「典型的な手口」の3点セット

まず覚えてほしいのは、次の3つが並んで出てきたら要注意、という型です。 いずれも消費者庁が実際の注意喚起で示している勧誘文言の類型です。

「簡単に稼げる」「月50万が当たり前」——断定的な収益の約束

消費者庁の注意喚起では、SNS広告をきっかけに次のような言葉で勧誘していた事例が示されています。手口の型として引用します。

「初心者でも簡単に稼ぐことができる」 「月50万が当たり前になる」 「簡単に契約金額以上の報酬を得ることができる」

将来の収入は本来、誰にも確実には約束できないものです。それを「必ず」「誰でも」「簡単に」といった断定で言い切るのが、この型の特徴です。学習には個人差があり、成果が出るかどうかを事前に保証できる正規の講座はありません。逆に言えば、収益を断定してくる時点で、公的機関が注意喚起している型に近づいています。

「儲からなければ返金保証がある」——安心材料に見える言葉が勧誘に使われる

同じ注意喚起のなかで、勧誘文言として示されているのが次の言葉です。

「儲けが出なければ返金保証がある」

ここは誤解されやすいので丁寧に書きます。返金保証という制度そのものが悪いわけではありません。 問題は、この「保証があるから大丈夫」という言葉が、高額な契約へ踏み切らせるための勧誘トークとして使われていたことです。「保証がある=安全」ではない、ということです。

⚠️ 返金保証は「言葉」ではなく「条件」で見る

「返金保証あり」は、単語だけでは意味を成しません。実際に返ってくるかは、対象になる申込方法・期限の起算点・対象コース・返金してもらえる理由の範囲などの条件次第で大きく変わります。返金保証の条件の具体的な読み方は、別の記事(返金保証の4条件)で詳しく扱います。 ここでは「保証という言葉だけで安心しない」ことだけ押さえてください。

SNS広告・著名人のなりすまし・個人名義口座

もうひとつ、消費者庁が継続的に注意喚起している型があります。SNS上の投資・副業の「もうけ話」に共通する特徴です。

  • 著名人・有名人になりすまして勧誘してくる
  • SNS広告やDMをきっかけに、外部のチャットへ誘導される
  • 振込先に個人名義の口座を指定してくる

消費者庁は、こうした勧誘には「まず疑ってみるようにしましょう」、そして個人名義口座の指定は詐欺と判断してよいという趣旨で注意を促しています。特に個人名義口座への振り込みを求められたら、その時点でいったん立ち止まる材料になります。

なぜ「必ず稼げる」の一言が問題なのか——制度から見た位置づけ

「必ず」という一言は、単に言い過ぎというだけでなく、消費者を保護する法律が想定している問題行為に近づきます。 ここでは制度の所在だけを正確に示します(個別のケースがどうなるかは断定しません)。

「必ず〜になる」は消費者契約法第4条の”断定的判断の提供”に当たりうる

消費者契約法の第4条には、「断定的判断の提供」という考え方があります。将来の変動が不確実な事項——たとえば将来受け取る金額など——について、事業者が「必ず〜になる」と断定的に告げ、消費者がそれを信じて契約してしまった場合、その契約を取り消せる場合があるという制度です。同じ第4条には、重要な事項について事実と異なることを告げる「不実告知」による取消しの定めもあります。

🔑 ここで大事なこと

「必ず稼げる」等の断定的な約束は、消費者契約法第4条の「断定的判断の提供」に当たりうる——つまり取消しの対象になりうる制度が存在します。ただし、実際に取り消せるかどうかは個別の事情によります。 この記事は「取り消せます」と約束するものではありません。困ったときは条文の所在(第4条)を手がかりに、次章の相談先へつないでください。

消費者庁が2025年6月26日の注意喚起で、この種の勧誘を「断定的判断の提供」による不当な行為として整理していることも、あわせて押さえておくとよいでしょう。

情報商材トラブルの実際——相談件数と傾向

国民生活センターには、情報商材に関する相談が継続的に寄せられています。相談件数は次のとおりです。

4,118件 情報商材の相談件数(2024年度) 出典: 国民生活センター(2025年8月1日時点)
年度情報商材の相談件数
2022年度7,000件
2023年度6,256件
2024年度4,118件

出典:国民生活センター「情報商材(各種相談の件数や傾向)」(2025年8月1日時点/2025年5月31日までの情報)。

数字だけを見ると「相談は年々減っている」と読みたくなりますが、単純にそう結論づけないほうがよい理由があります。国民生活センターは、情報商材そのものよりも、情報商材をきっかけに電話やWeb会議で高額な副業コンサル・サポート契約に誘導されるケースが目立つとしています。つまり手口がサポート契約やオンラインサロンといった別のかたちへ移っている可能性があり、相談が分散しているとも考えられます。件数の減少を、そのまま「安全になった」と受け取らないほうが安全です。

出典は国民生活センター「情報商材」のページです。

見分けの実践——この順で確認する

怪しいと感じたら、感覚を裏づけるために次の順で確認します。 ひとつずつ潰していけば、名前を知らない相手でも型で判断できます。

1. 事業者の情報を確認する

まず、「特定商取引法に基づく表記」を探します。オンラインで申し込む講座や商材には、事業者の名称・所在地・電話番号・責任者名などを表示する義務があります。ここに事業者名や連絡先が見当たらない、実質的に連絡が取れない、といった場合は、それだけで警戒の理由になります。事業者情報をどう確認するかのより詳しい観点は、後述の選別基準ページで扱っています。

2. 収益の”断定”がないか

前章の型を思い出してください。「必ず」「誰でも」「放置で」「月◯万が当たり前」——将来の収入を断定する言葉が出てきたら、公的機関が注意喚起している型に一致します。正規の学びは成果を保証しません。断定があるほど、警戒の度合いを上げてよい、と考えてください。

3. 無料説明会・無料相談は”善悪の判別材料にならない”

ここは誤解しやすいところです。「無料説明会があるから怪しい」でも、「無料相談があるから安心」でもありません。 無料の説明会・相談は、正規の講座でも悪質な商材でも共通して使われるフォーマットだからです。有無そのものは判別材料にならない、と割り切ってください。大事なのは、その場で何を確認するかです(説明会で聞くべき具体的な質問は、別の記事(無料説明会の質問リスト)で扱います)。

4. 高額なサポート契約・分割/ローンを即決で迫られていないか

その場で高額なサポートプランの契約を迫られたり、分割払いやローンを勧められたりしても、即決する必要はありません。 一度持ち帰って検討してよいものです。分割やローンは、初期の心理的な負担を下げて高額契約に進ませる構造になりやすく、これも正規・悪質を問わず使われます。金額・回数・最後までにいくら払うのかを確認してから決めて構いません(契約前の確認手順は、別の記事(分割・ローンの確認)で扱います)。

⚠️ 「クーリング・オフできる」と早合点しない

「あとでクーリング・オフすればいい」と考えて契約を急ぐのは危険です。オンラインで申し込む契約(通信販売)には、法律上のクーリング・オフ制度が原則ありません。一方、一定の役務については特定商取引法にクーリング・オフの定めがありますが、AI講座・プログラミング講座がその対象(特定継続的役務提供)に当たるかは、役務の内容・期間・金額の要件次第で一律には言えません。 政令で指定されている役務はエステティック・美容医療・語学教室・家庭教師・学習塾・パソコン教室・結婚相手紹介サービスの7つで、このうちパソコン教室は「電子計算機又はワードプロセッサーの操作に関する知識又は技術の教授」に限定されています。自分の契約が対象になるかは、契約書面と「特定商取引法に基づく表記」で確認するのが唯一確実です。対象外だから諦めるしかない、という意味ではありません。判断に迷うときは次章の相談先へつないでください。

「怪しい」と思ったら・被害に遭ったら——相談先

ひとりで抱えず、迷った段階で相談してよい窓口があります。契約前でも、すでに契約してしまった後でも使えます。

消費者ホットライン「188(いやや)」

「怪しいと思ったが判断がつかない」「勧誘されて困っている」「契約してしまったが不安だ」——そのどれでも、まず電話できるのが消費者ホットラインです。

188 消費者ホットライン(いやや)/局番なしで最寄りの相談窓口へ 出典: 消費者庁

局番なしで「188」にかけると、お住まいの地域の消費生活センター等の相談窓口につながります。消費者庁も、SNSのもうけ話に関する注意喚起のなかでこの窓口を案内しています。

「断定的判断の提供」「不実告知」による取消しという制度がある

前章で触れたとおり、消費者契約法第4条には、断定的判断の提供や不実告知によって誤認して契約した場合に取消しができる場合があるという定めがあります。これは制度として存在する、というところまでを知っておいてください。実際に取り消せるかは個別の事情によりますので、自己判断で結論を出さず、188番や消費生活センターに具体的な状況を伝えて相談するのが確実です。

正規の講座を選びたいなら——選別基準で自分で確認できる

ここまでは「怪しい商材を見分ける入口」の話でした。ですが、この記事のゴールは不安で終わることではありません。手口の型で悪質な商材を避けられるようになったら、次は正規の講座を自分のモノサシで選べる——そこまで進めて初めて、学びの入口に立てます。

  • 正規の講座を選ぶときの具体的なモノサシ(事業者情報・受講総額・カリキュラム・返金条件など7項目)は、選別基準ページにまとめています。この記事では基準そのものは繰り返しません。判断のモノサシはそちらに譲ります。
  • そもそも独学で足りるのか、講座が向いているのかから迷っている場合は、独学か講座かの自己診断で自分のタイプを確認できます。
  • 給付金が使えそうかどうかは、制度峻別ハブで対象条件を確認できます。

👉 AI講座ナビの選別基準はこちら(掲載する講座・しない講座の7項目)

👉 独学で足りるか、講座が向いているかを自己診断する

👉 専門実践教育訓練給付金とリスキリング支援事業の違いを確認する

まとめ——名前ではなく「型」で見分ける

「AIで簡単に稼げる」という言葉に不安を感じたとき、答えるべきは「その相手が怪しい会社かどうか」ではありません。公的機関が注意喚起している手口の型にあてはまるかです。

  • 収益を断定する(「必ず」「誰でも」「月◯万が当たり前」)
  • 「儲からなければ返金保証」など、安心材料に見える言葉が勧誘に使われている
  • なりすまし・個人名義口座への振り込み・その場での高額契約の即決を迫る

この型に近いほど、公的機関がすでに警告している対象に近づいています。確認は「事業者情報→収益の断定→無料説明会は判別材料にしない→即決を迫られていないか」の順で。迷ったら、ひとりで結論を出さず188番へ。そのうえで、正規の講座を選ぶモノサシは選別基準ページで確認してください。


本記事は「AIで簡単に稼げる」系の勧誘を公的根拠で見分けるための一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。広告を含みません。特定の講座・事業者を「怪しい」と評価・断定するものでもありません。掲載した件数・制度・条文は変更されることがあり、2026年7月10日時点で公的機関(消費者庁・国民生活センター・e-Gov法令検索)が公表している情報にもとづきます。個別の契約が法令上どう扱われるか(クーリング・オフや取消しの可否など)は契約書面と「特定商取引法に基づく表記」でご確認のうえ、判断に迷うときや被害に遭ったときは消費者ホットライン「188」へご相談ください。